SQL Server Expressを商用利用するのは実際どうなんだろう?
無料で商用利用できますが、それが現実的なのか判断しずらいと思います
本記事では、SQL Server Expressを商用利用する3つのメリット / デメリットを解説します。
SQL Server Expressの商用利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
SQL Serverとは
SQL Serverは、Microsoft社が開発したRDBMS(データベース管理システム)のこと!!
WindowsOSと相性が良く、WindowsServerで利用されることが多いです。
大まかに、以下のエディションが用意されており、検討しているシステムの規模/種類/用途によって、どのエディションにするか変わっていきます。
エディション | 用途 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|
SQL Server Enterprise | 大規模システム用 | 有償 | ・全ての機能を使用できる。 ・OSの最大容量までCPUやメモリを搭載できる。 |
SQL Server Standard | 小中規模システム用 | 有償 | ・OSがサポートする最大容量までメモリの搭載ができる。 |
SQL Server Web | Webシステム用 | 有償 | ・Webサイトと連携した大小様々なシステムのみで利用可能な限定的なもの。 ・データ転送や分析といった機能がない。 |
SQL Server Developer | 開発用、学習用 | 無料 | ・機能的にはEnterpriseと同じである。 ・開発やテスト、または学習用に使うなど、商用としては利用できないもの。 |
SQL Server Express | 小規模システム用 | 無料 | ・CPUは1個まで、メモリも1GBまでなどと機能や設定に制限がある。 |
SQL Server Expressとは
SQL Server Expressは、Microsoft SQL Serverで提供されているエディションの一つです。
無料で商用利用することができるのが特徴の一つ!
SQL Server Expressについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください!
SQL Server Expressを商用利用するメリット
メリット1:初期コストを抑えることができる
SQL Server Expressは、無料で商用利用することができるため、システム導入する際の初期コストを抑えることができます。
具体的にどのくらいのコストを抑えることができるの?
利用するエディションにもよりますが、Enterpriseエディションは約150万円かかります。
公式:Microsoft SQL Server 2022 価格
もし、EnterpriseエディションでなくExpressエディションで事足りれば、かなり負担が減るのではないでしょうか!
メリット2:シームレスにアップグレードできる
SQL Server Expressでは、Enterpriseなどの有償版エディションへのアップグレードが可能です。
例えば、導入時はExpressエディションで十分対応できたが、システム規模の拡大などにより対応できない状況になった場合にアップグレードを検討するケースがあり得ます。
データの状態を引き継ぎながら、有償版エディションへのアップグレードができるので、導入時にExpressエディションであったとしても問題はありません。
メリット3:LocalDB機能を使うことができる
SQL Server Expressエディションでは、LocalDB機能を使うことができます。
LocalDBとは、軽量版のSQL Serverで、開発者のために用意された機能です。SQL Server Expressでは1台のサーバ上に複数のユーザが同じインスタンスを共有する形となりますが、LocalDBでは、ユーザ毎に個別のインスタンスを用意することができます。
新しくシステム開発する際に、LocalDB機能をうまく使えば、効率よく開発作業を行うことも🎶
SQL Server Expressを商用利用するデメリット
デメリット1:制限された機能が必要な場合は別で補う必要がある
SQL Server Expressでは、機能制限がある都合上、データベースの定期的なバックアップやSQL自動実行などができません。
Expressエディションで制約機能を利用する場合は、独自に機能を用意する必要があります。
例えば、データの定期的なバックアップをしたい場合は、独自にバックアップ機能を作り上げて自動実行するようにWindowsのタスクスケジューラーを設定するなど。。。
技術的スキルがあれば、機能制限の壁はうまく乗り越えられると思いますよ✨
デメリット2:データ量の突発的な増加に対応できないリスクがある
SQL Server Expressは、1データベースに10GBまでのデータしか格納できません。
データベースにおける日々の処理データについて、想定よりも大幅に急増した場合、システムダウンや例外発生させることにつながります。
ちなみに、データ量が上限に達しそうな場合の通知機能が有償版にありますが、Expressエディションでは機能制限されています。。。
Expressの商用利用を検討する場合、発生するデータ量をしっかりと調査し、安定してシステムを稼働できるのかを事前に検討することが重要になってきます。
デメリット3:データ量およびスペックの許容範囲が狭い
SQL Server Expressは、小規模システムでの利用を想定しているため、データベースに蓄積できるデータ量や処理速度の上限が低くなっています。
例えば、1データベースに格納できるデータ量の上限が10GBであったり、1CPUにつき4コアまででメモリは1GBまでであったりします。
そのため、日々蓄積していくデータをどうするのか検討したり、処理速度が期待しているよりも遅いことに対して、どうするのかを検討することが重要となります!
SQL Server Expressを商用利用するのに向いているシステム
端的に言えば、小規模なシステムで商用利用するのが現実的!!
小規模って具体的にどれくらいなんだろう?
明確に何を基準にシステム規模を決めているのかという指標はありません。
以下がシステム規模を考える一つの指標になると思います。
- 開発プロジェクトで関わる人の数
- プログラムのステップ数
- どのくらいのお金をかけているのか
- 利用するユーザー数はどのくらいか
上記の指標で想定される小規模なシステムは、以下の規模感です。
- 開発プロジェクトで関わる人の数:5人以下
- プログラムのステップ数:5000〜10000ステップ
- どのくらいのお金をかけているのか:100万以下
- 利用するユーザー数はどのくらいか:10人〜50人程度
商用利用に向いているシステムって具体的に何があるんだろう?
SQL Server Expressの商用利用を考えると、個人経営の小さいお店での利用や、余裕のあるタイミングで処理を行う想定のシステムが妥当でしょう!
例えば、個人経営のお店の会計システムや勤怠管理システム、給与管理システムなどがあげられます!
SQL Server Expressを商用利用する方法
SQL Server Expressを商用で利用する場合の特別な手順はありません。
公式サイトからSQL Server Expressをダウンロードした後、AWSであったり、サーバ機器であったりにインストールすることで、使えるようになります。
商用で利用しても、個人の勉強で利用しても大丈夫です!
まとめ
本記事では、SQL Server Expressのメリットやデメリットについて解説しました!
SQL Server Expressは無償で商用利用できるメリットがあると同時に利用できる機能に制約があるため、開発できるシステムに限界があるというデメリットもあります。
最後に今回のおさらいをしておきましょう。
- SQLServerとは
Microsoft社が開発したRDBMS(データベース管理システム) - SQLServerExpressとは
SQL Serverで提供されているエディションの一つで、無料で商用利用することができる - SQLServerExpressを商用利用するメリット
初期コストがかからず、シームレスにアップグレード可能 - SQLServerExpressを商用利用するデメリット
機能や性能に一部制限があるので、別で補填する必要がある - SQLServerExpressを商用利用するのに向いているシステム
小規模会社(10人〜50人)で扱うシステム - SQLServerExpressを商用利用する方法
特別、商用利用するのに設定や手続きなどはない
デメリットが許容できるものであればSQL Server Expressはとても役に立つと思います。
もちろん、途中から有償版にバージョンアップすることも可能なので、最初の導入段階ではSQL Server Expressにするのも一つの選択肢になると思います。
SQL Server Expressを商用利用することを検討している方は、無料で利用できるので、お試しで利用してみるのみ良いと思いますので、ぜひ試してみてください。
SQL Server Expressのダウンロードはこちら
https://www.microsoft.com/ja-jp/sql-server/sql-server-downloads