客先常駐はやばいと噂を聞くけど、実際はどうなんだろう?
辛いことや大変なことが多いのかな?
本当に辛かったり大変だと、不安になりますよね。
本記事では、システムエンジニアとして8年経験して分かった客先常駐の実態を解説します。
実体験をベースに解説しているので、客先常駐が実際にやばいのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
客先常駐とは
客先常駐とは、自分が所属してる会社からお客様先企業へ派遣され、一定期間そこで働くことです。
IT業界では、客先常駐はかなり一般的な働き方かもしれないです。
- 情報セキュリティ的な都合でデータが持ち出せない
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システムで扱っているデータは、個人情報や機密情報の塊です。
情報漏洩などが発生したら大変なことになります。
たとえ仕事のためであっても、簡単にデータを開発会社に渡すことはできない事情があります。
- 作業コストや生産性の都合が良い
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お客様のシステム開発を自社で対応する場合は新たに開発環境を整えていく必要があります。
そのために新たにパソコンやサーバを購入したり、機器の設定なども客先の条件に合わせたり、色々と対応しなければいけません。
さらに、お客様ごとに開発環境を整えていたら大幅にコストがかかることになります。
それよりもお客様先の環境を利用させてもらうほうが、環境構築や余分な備品代などを抑えることができるので、客先常駐で対応することが都合が良いということもあります。
- コミュニケーションが取りやすい
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リモートワークも日常の一つになり、zoomやTeamsなどのツールも充実してきましたが、やはり対面で作業した方が正確性や作業効率が上がることもあります。
また、プロジェクトが炎上し始めると顧客とのコミュニケーションをなるべくリアルタイムに行うためにも常駐が必要となります。
また、客先常駐とSESは同じような意味合いがあり、何が違うのか疑問を持っている人もいるかもしれません。
客先常駐は働き方のことで、SESは事業形態のことを指します。
SESとは、System Engineer Serviceの略称のことで、エンジニアを必要としているお客様にエンジニア支援を行うことで利益を出します。
そのため、SESは客先常駐することが基本となるので客先常駐=SESのようなイメージがあるかもしれません。
しかし、SESでなくても客先常駐自体は自社開発の都合で一時的に発生することもあるので、客先常駐=SESではありません。
客先常駐は実際やばいのか?
「客先常駐はやばい」というのは必ずしも全て当てはまるというわけではありません。
ちなみに「やばい」は、「激務であったり精神的に辛い」という意味で使用してます。
「やばい」と感じる常駐先もありますし、楽しいと感じたり充実感を得られる常駐先もあります。
私の場合、少なくとも8年経験してきて「やばい」と感じる現場は1つでした。
また、個人的には次のような客先常駐だった場合は辛いと思います。
- 毎日残業2時間以上
- 土日祝も出勤しなければいけない
- 新人だったとしてもフォローもアドバイスもない環境
- 技術的スキルアップや経験値がたまらない環境
- パワハラやセクハラまたはそれに近いことがある
人によっては、そのようなハードな環境に身を置くことで成長しようと考える人もいると思います。
おそらく客先常駐に限らず、どんな業界や会社でも同じことが言えるかもしれません。
結局のところ、人によって向き不向きがあるのかなと思います。
客先常駐がやばいと言われる理由とは
客先常駐がやばいと言われる理由には、以下のような点が挙げられます。
- スキルや経験がない新人だと苦労する
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客先では、いくら新人であったとしても一人前のSEとして求められますし、一緒に常駐している先輩社員のフォローが手厚くない場合は自発的に行動できないと大変苦労する可能性はあります。
- 一人で客先常駐する場合もある
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客先常駐は必ずしも数人のメンバーで行くとは限りません。
クライアントの都合によっては一人で常駐することもあります。
一人だと困った時に気軽に相談できる人もいないですし、孤独感や肩身の狭い思いをするかもしれません。
また、メンバーが少数精鋭の現場であれば、一人一人の責任がより大きくなるので、プレッシャーなどに打たれ弱い人は苦労するかもしれません。
- 勤務体系は現場ルールに合わせる場合がある
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勤務体系は客先の現場ルールに合わせるのが一般的です。
例えば自社の勤務時間が10時開始であっても客先が9時開始であれば、客先の開始時間に合わせる必要があります。
休日も同様で、クライアントによっては土日祝に出社を求められることもあります。就職先を選ぶ際に勤務体系を条件に選んだ人からすれば、その点はストレスになる可能性があるでしょう。
- 作業環境については当たり外れがある
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客先常駐では、クライアント企業のスペースを一時的に借りて利用するケースが多いため、クライアント先の都合によって状況が変わります。
例えば、雑居ビルの1フロア内の端っこに存在している小さな個室で、パイプ椅子であったり、一人のデスクスペースが狭かったりなどの作業場所になることもあります。
運が良ければ、オシャレで綺麗なオフィスで作業する可能性もあります。
- 常駐先によっては激務の可能性がある
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常駐先のプロジェクトが炎上しているところだと、ほとんどの人が定時で帰らず残業していることもあります。
また、自分の作業がなくても帰りづらい状況であったりするので、自分をちゃんと主張しないと、余計な体力を使うかもしれません。
- 正当な評価を受けられないことがある
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必ずしも常駐先に自分を評価してくれる上司がいるわけではありません。
そのため、常駐先で相当な貢献をしない限り、自分の努力が自社には伝わりにくくなります。
自分なりに頑張っても報われないと感じてモチベーションも下がるので辛いかもしれません。
客先常駐で歩める今後のキャリアは?
客先常駐のキャリアは、どんな常駐先なのか、また自分が常駐先でどれだけ積極的に考え行動したのかなどで変わっていきます。
例えば次のようなケースが挙げられます。
- ケース1:開発エンジニアとして最前線で活躍できるようになる
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客先常駐であれば、設計・コーディング、テスト工程が中心になると思います。
開発を続けていきたい場合は、客先常駐を続けていき、開発の前線で活躍できるようにスキルを磨いていくのも一つのキャリアパスとなります。
- ケース2:プロジェクトマネジメントを取得し開発リーダになる
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現場である程度の経験とスキルが身についてくると、開発リーダとしてプロジェクト全体を取りまとめることができるようになり、マネジメントスキルも身についていきます。
マネジメントができるエンジニアは非常に重宝されて、年齢を重ねても受け入れてくれるプロジェクトも多いです。
- ケース3:営業的なスキルを身につけてクライアントから仕事をもらえるようになる
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お客さんとコミュニケーションをとりながら信頼と実績を積み重ねていく中で、営業的な動きができるようになれば、自分の働きやすいような状況に変えることもできるようになっていきます。
また、クライアントに営業して自分で仕事を取れれば、自社で作業することもできるようになります。
しかし、エンジニアは常に新しい技術を取り入れながらスキルアップしていかないと市場価値が下がっていきます。
客先常駐する中で自分自身を成長させていかないと、以下のような最悪のキャリアを描くことになる可能性もあります。
- ケース1:年齢を重ねても20〜30代と同じ開発力のままで解雇対象になる可能性
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40〜50代になっても、スキル的に20〜30代の若手と同じレベルであれば、会社的には解雇対象として考える可能性があります。
成長が見込めないのに給料だけ高いベテラン社員はコスパが悪いです。
- ケース2:トレンドの技術を扱えなくて常駐先がなくなっていき解雇対象になる可能性
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年齢を重ねていくと客先常駐では即戦力が求められます。
また、IT業界では技術が常に移り変わっていくので、エンジニアは新しい技術に目を向ける必要があります。
例えば2023年であればAIやPythonといったスキルです。
古い技術スキルしかないと、今後の常駐先がなくなっていく可能性があります。
常駐先がない社員は、会社としてはお荷物として扱われる可能性があるので解雇対象として考える可能性はあると思います。
- ケース3:円滑なコミュニケーションが取れない人は常駐先がなく解雇対象になる可能性
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システムエンジニアは技術職ではありますが、一人ではなくチームで仕事をするものです。
客先のメンバーと円滑なコミュニケーションが取れず、雰囲気を見出すような人やトラブルを起こすような人は、会社としては客先常駐させることはできません。
自社開発もしている会社であれば、まだ道はあるかもしれませんが、SES事業がメインの会社であれば、解雇対象となる可能性はあると思います。
スーパーマンなみに頑張れというわけではありませんが、自分を成長させていかなければ、40,50代になっても仕事ができない人と判断される可能性があり、その後もなかなか新しい常駐先が見つからず、年下上司に叱られ、居心地の悪さを感じて退職なんてこともあります。
客先常駐からキャリアを築いていくなら常にスキルアップを念頭に仕事に取り組むようにしましょう。
客先常駐に向いている人とは
個人的には、以下のような人が客先常駐に向いているでしょう。
- 様々な現場経験を積みたい人
- 将来的にフリーランスやキャリアアップ転職を考えている人
- 様々な企業の人と関わりたい人
- 自分の成長にストイックな人
- 環境の変化に適応できる人
客先常駐がやばいと言われる理由としては、以下のような点がありましたが、結局のところ自分から自発的に積極的に行動できるような素質があれば上手くやっていけます。
- 新人関係なく1人前のSEとして扱われる
- 激務の可能性がある
- フォロー体制がない可能性がある
逆に言えば、自分が積極的に周囲を巻き込みながら行動できれば、短期間でたくさんのことを経験することができ、スキルも身についていくと思います。
客先常駐するメリット・デメリット
客先常駐するメリットとデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 未経験でも参入しやすい
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SES事業をする会社では、未経験者を積極的に採用している場合が多いため、経験が浅くても客先常駐エンジニアとしてすぐに働きやすいです。
- 様々な環境で仕事ができる
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同じ会社で長く仕事をするよりも、様々な職場環境で色んな仕事をする方が、多くの経験を積むことができます。
- 社外の人脈が作れる
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客先常駐は社外の人と出会える機会もたくさんあるので、仲良くなって長いお付き合いができる可能性もあります。
- 自分のキャリアに沿った現場に変えることもできる
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どの会社でも定期的にキャリア面談を行っているかと思いますが、自分が今後経験していきたいことを伝えれば、要望に沿った常駐先を考えてくれる可能性があります。
また、常駐先が自分に合わなかった場合は別の常駐先を考えてくれたりします。
- 上流工程の仕事がしにくい
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常駐先で行う仕事は下流工程が主な現場が多く、上流は客先の社員がやることが多いです。
そのため、上流工程を経験したい人にとっては物足りないかもしれないです。
- マネジメント経験が積みにくい
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常駐先では基本的にクライアントの指示に従う場合がほとんどなので、クライアントとの信頼関係ができていて、ずば抜けた能力を認められるくらいでないとマネジメント系の業務はなかなか経験できないと思います。
- 給料が低かったり上がりにくい
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全ての会社が必ずしもそうとは限りませんが、比較的に客先常駐することがメインの会社では、給料が安く上がりにくいと言われています。
- 現場によって当たり外れがある
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客先常駐はやばいと言われる理由でもありますが、現場によっては激務であったり、フォロー体制がなかったりして精神的に辛い現場もあるので、どの現場に常駐するのかは運まかせなところもあると思います。
客先常駐がやばい企業を回避する方法、抜け出す方法
上述したように、客先常駐は現場によって当たり外れがあります。
やばい常駐先もあれば、楽しい常駐先もあります。
客先常駐という働き方を考えている場合、まずは所属企業がホワイトな客先常駐をしている企業かどうか判断できるようにしておくのがいいでしょう!
SESを含めた客先常駐を扱う企業の中から、やばい企業を回避するためにも、優良企業を知ることは重要です。
- 上流プロジェクトが多い
- 評価制度が整っている
- 福利厚生が充実している
- 研修が充実している
転職エージェントなどの情報を上手く活用しながら、企業の特徴を比較していくことが大切です。
客先常駐は無理だと思ったり、辛くて辞めたいと思っている人は、今の現場を抜け出して現状を変えていくのがいいと思います。
客先常駐に抵抗があるようであれば、客先常駐がない会社に転職するのも一つの手段です。
客先常駐を考えない場合は、客先常駐がない企業かどうか見分けられるようにしておくのがいいでしょう!
見分けるには、その企業の事業内容や業務を詳しく理解する必要があります。
事業内容にSES事業があれば、客先常駐は逃れられません。
しかし、詳しく理解するには実際に会社に入ってみないと分からないものです。
そんな時におすすめなのがIT転職エージェントを活用することです。
転職エージェントには専門的な知識を持ち、現場の内情に詳しいコンサルタントが相談に乗ってくれるので、詳細な情報を聞くことができます。
またホワイト企業を厳選して紹介してくれたりもするので、やばい会社に当たる可能性も低減できます。
まとめ
本記事では、客先常駐は実際やばいのかについて、その実態を解説しました!
「客先常駐はやばい」というのは必ずしも全て当てはまるというわけではありません。
結局のところ、人によって向き不向きがあります。
最後に、本記事の振り返りをしておきましょう!
- 客先常駐とは
- 客先常駐は実際やばいのか?
- 客先常駐がやばいと言われる理由とは
- 客先常駐で歩める今後のキャリアは?
- 客先常駐に向いている人とは
- 客先常駐するメリット・デメリット
- 客先常駐がやばい企業を回避する方法、抜け出す方法
客先常駐は、個人的にはデメリットだけでなくメリットもあり、自分が将来どんなキャリアを歩んでいきたいのかによって、客先常駐する働き方が適切なのかが変わってくるかなと思います。
「客先常駐はやばい」という噂をあまり意識することなく、自分が将来どんなキャリアを描いていきたいのかを考えて、客先常駐もアリなのか考えてみるのがいいでしょう!
皆さんがエンジニアとして素晴らしいキャリアを築いていけることを応援しています!